ChatGPT・Claude・Gemini などのAIを、調べもの・文章・資料づくりに使う方法を紹介します。

Cautions

仕事での注意点

AIに入れてはいけない情報:機密の線引き

目次
  1. なぜ入力に注意が必要か
  2. 入力を避けるべき情報の例
  3. 置き換えて使う方法
  4. サービスの設定を確認する
  5. 入力してしまったときの対応
  6. 判断に迷ったとき
  7. 入力前の三秒チェック
  8. 画像やファイルを渡すとき
  9. 取引先から預かった資料
  10. 情報の重要度で分ける
  11. 在宅勤務や外出先で使うとき
  12. 次にやること

AIに入力してはいけない情報の基本は、「外に出ると、会社や取引先、個人に不利益が生じるもの」です。顧客の個人情報、未公開の経営情報、取引先との契約で守秘が定められた内容は、会社のルールで許可されていない限り、入力しないのが原則です。

一方で、情報を一般的な形に置き換えれば、AIを使える場面は多くあります。線引きを知っておけば、AIの便利さを活かしながら、事故を避けられます。

なぜ入力に注意が必要か

AIサービスに文章を入力すると、その内容は、サービスを提供する会社のサーバーに送られます。サービスの設定や契約内容によって、入力した内容が保存される期間や、AIの改善に使われる可能性が異なります。

入力内容が学習に使われない設定や、法人向けの契約がある場合もあります。ただし、設定を確認せずに使うと、意図せず外部に情報が出ることになります。執筆時点の情報なので、使うサービスの公式の説明で、現在の扱いを確認してください。

また、同じアカウントを複数人で共有していると、履歴から他の人に内容が見えてしまうことがあります。

入力を避けるべき情報の例

一般的に、次のような情報は、入力を避けます。

  • 個人情報:氏名、住所、電話番号、メールアドレス、顧客番号、マイナンバー
  • 取引先の情報:契約内容、価格、未公開の取り組み
  • 社内の機密:未公開の財務情報、人事情報、経営の計画
  • 認証の情報:パスワード、アクセスキー、サーバーの接続情報
  • 未公開の製品情報、ソースコード、設計図

会社によって、規則や判断基準は異なります。入力の可否は、会社のルールが最優先です。ルールがはっきりしない場合は、情報管理の担当者や上司に確認します。

置き換えて使う方法

情報を一般的な形に置き換えれば、AIを使える場面があります。

  • 固有名詞を記号にする:「A社」「Bさん」「商品X」
  • 具体的な数字を、概数やダミーに置き換える:「売上1,234万円」を「売上約1,000万円」に
  • 日付を、相対的な表現にする:「10月15日」を「来週の水曜日」に
  • 特定できる情報を削除する:部署名、役職、地名

置き換えた文章で相談し、結果に実際の名前や数字を戻して使います。たとえば、メールの下書きを頼むときに、取引先の名前を「A社」にしておき、できた下書きで本物の名前に直します。

置き換えても、状況から会社や人が特定できる場合があります。「地方の小さな製造会社で、従業員が12人」といった特徴が揃うと、特定される可能性があります。置き換えの程度は、慎重に判断します。

サービスの設定を確認する

AIサービスの設定には、履歴の保存や、学習への利用に関する項目があります。次を確認します。

  1. 入力内容が、AIの学習に使われる設定になっていないか
  2. 会話の履歴が保存される期間と、削除の方法
  3. 法人向けのプランなど、会社として契約したサービスがあるか
  4. 共有リンクを作る機能で、意図せず公開していないか

設定の項目の名前や場所は、サービスごとに異なり、変更されることもあります。使うサービスの公式の案内を読んで、確認してください。

会社が指定するサービスがある場合は、個人のアカウントで業務の情報を扱わず、指定のサービスを使うのが基本です。

入力してしまったときの対応

誤って機密情報を入力してしまった場合は、隠さずに、早く報告します。上司や情報管理の担当者に、何を、いつ、どのサービスに入力したかを伝えます。

報告が遅れると、対応の機会を失います。サービスの履歴を削除する、サービス提供元に削除を依頼する、取引先に連絡するなど、状況に応じた対応を会社が判断します。

一人で抱え込まず、事実を報告することが、被害を小さくします。報告した人を責める風土でなく、再発防止に目を向ける対応が望ましいとされています。

判断に迷ったとき

迷ったときは、次の三つを自分に問いかけます。

  1. この情報が外部に出たら、誰かが困るか
  2. 会社のルールで、入力を許可されているか
  3. 置き換えても、目的を達成できるか

一つでも不安があれば、入力をやめるか、置き換えます。AIを使わず、自分で作業する選択肢も忘れずに持っておきます。

入力前の三秒チェック

毎回、長い確認をするのは負担です。入力ボタンを押す前に、三秒で次を思い浮かべます。「名前はあるか」「数字は本物か」「これを他社の人が見たら困らないか」。三つのうち一つでも引っかかったら、手を止めて置き換えを考えます。

この習慣は、慣れると自然にできるようになります。付箋に書いて、画面の端に貼っておくのも、最初のうちは効果があります。

画像やファイルを渡すとき

文章だけでなく、画像やファイルをAIに渡す場面にも気をつけます。スクリーンショットには、思わぬ情報、たとえば他の画面の通知、顧客名、URLに含まれるIDなどが映り込むことがあります。ファイルには、見えない場所にメタデータとして作成者の名前や、変更履歴、コメントが残っていることがあります。

渡す前に、不要な部分を切り取り、コメントや履歴を削除します。表計算ソフトのファイルなら、非表示の列やシートがないかも確かめます。

取引先から預かった資料

取引先から預かった資料は、自社の情報ではなく、相手の情報です。AIへの入力が許されるかどうかは、契約と相手の意向で決まります。相手が許可していない限り、入力しないのが原則です。必要なら、「この資料の要約に、AIの利用を許可いただけますか」と事前に確認します。

情報の重要度で分ける

情報には、重要度の段階があります。公開されている情報、社内には共有しているが外には出さない情報、特定の部署や人だけが扱う情報、法令で保護される情報、といった具合です。この段階に応じて、AIへの入力の可否を決めます。

会社に情報の分類の基準があれば、それに従います。なければ、上司と相談して、簡単な分類を作ります。分類があると、「この資料はどの段階か」を考えるだけで、入力の可否が判断できるようになります。

在宅勤務や外出先で使うとき

在宅勤務や外出先でAIを使うときは、画面の覗き見や、公共の無線通信の安全性にも注意します。カフェなどの共有ネットワークでは、会社の機密情報を扱う作業は避けます。家族と共用のパソコンでは、ログインしたままにせず、作業後にログアウトします。使う場所によっても、情報の安全は変わります。

次にやること

次の三つを、今週中に確認してください。

  1. 自分の会社に、AIの利用ルールがあるかを調べる(なければ、上司に確認する)
  2. 普段使っているAIサービスの、履歴と学習の設定を開いて確認する
  3. よく入力する種類の情報について、置き換えの方法を決めておく

ルールが整っていない職場では、まず自分の使い方を決め、上司と共有することから始めます。個人の判断だけで進めず、周囲と認識をそろえることが、安心して使う土台になります。