ChatGPT・Claude・Gemini などのAIを、調べもの・文章・資料づくりに使う方法を紹介します。

Cautions

仕事での注意点

顧客の個人情報をAIに入力するときの注意

目次
  1. 個人情報の範囲
  2. なぜ入力に注意が必要か
  3. 入力を避けるべき場面
  4. 個人情報を除いて使う方法
  5. サービスと契約の確認
  6. 社内ルールと報告
  7. 本人への説明と同意
  8. 従業員や応募者の情報
  9. 画像と音声の扱い
  10. 判断に迷ったときの動き方
  11. 業務の一部を切り出して使う
  12. 次にやること

顧客の個人情報は、会社のルールで明確に許可されていない限り、AIに入力しないのが基本です。個人情報を扱う場合は、氏名や連絡先を削除または置き換えて、個人が特定されない形にしてから使います。

個人情報の取り扱いは、個人情報保護法などの法令で定められています。ここでは一般的な考え方を紹介しますが、具体的な判断は、会社の個人情報の担当者や、専門家に確認してください。

個人情報の範囲

個人情報とは、生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものを指します。氏名のほか、他の情報と照らして個人を識別できるものも含まれます。

仕事で扱う代表的な例は、次のとおりです。

  • 氏名、住所、電話番号、メールアドレス
  • 顧客番号、会員ID、注文番号
  • 顔写真、声の録音
  • 生年月日、勤務先と役職の組み合わせ
  • 購買履歴や問い合わせ内容と、個人を結びつける情報

特に慎重に扱うべきとされる情報、たとえば病歴、信条、犯罪歴などは、要配慮個人情報として、より厳しい取り扱いが求められます。

なぜ入力に注意が必要か

個人情報をAIサービスに入力することは、外部のサービス事業者に、その情報を渡すことになる場合があります。本人の同意や、法令に沿った扱いなしに第三者へ提供すると、問題になるおそれがあります。

サービスによっては、入力内容を保存したり、AIの改善に利用したりする設定があります。意図せず個人情報が学習に使われたり、他の場面で出力に現れたりする可能性もゼロではありません。

契約や設定によって、事業者が入力内容を学習に使わないこともあります。ただし、その場合でも、会社としての許可と、本人への説明の範囲を確認する必要があります。

入力を避けるべき場面

次のような場面では、個人情報の入力を避けます。

  1. 顧客の問い合わせメールを、そのまま貼りつけて返信案を作らせる
  2. 顧客リストの表を貼りつけて、集計や分類をさせる
  3. 面談の録音や文字起こしを、個人名つきでまとめさせる
  4. 履歴書や評価シートを貼りつけて、要約や評価をさせる
  5. 顔写真や身分証の画像を、AIに読み取らせる

特に、人事情報や採用の情報は、本人の不利益につながりやすい分野です。AIの判断に頼りすぎず、人が責任をもって判断します。

個人情報を除いて使う方法

個人情報を含む業務でも、情報を取り除けば、AIを活用できる場面があります。

  • 氏名、住所、連絡先などを削除する
  • 「お客様A」のように、記号に置き換える
  • 年齢を年代に、住所を都道府県にするなど、粒度を粗くする
  • 特定の出来事や、珍しい特徴を、一般的な表現に変える

たとえば、問い合わせメールの返信案を作るとき、顧客の名前や注文番号を除いて、内容だけを入力します。できた返信案に、本物の名前を戻します。

ただし、情報を取り除いても、組み合わせで特定できる場合があります。「小さな町で、特定の年に特定の購入をした70代の方」のような記述は、個人を絞り込める可能性があります。匿名化したつもりでも、特定されるリスクを考えてください。

サービスと契約の確認

個人情報を扱う業務でAIを使う場合は、会社として、サービスの契約内容を確認します。

  • 入力データの保管場所と期間
  • 学習への利用の有無と、設定の方法
  • 事業者による、データの安全管理の措置
  • 契約上の、個人情報の取り扱いに関する条項

こうした確認は、個人ではなく、会社の情報管理の担当者や法務が行うのが適切です。個人が判断できる範囲を超えている場合は、相談します。

社内ルールと報告

個人情報を扱う会社には、通常、取り扱いの規程があります。AIの利用がその規程に含まれているか、確認します。含まれていなければ、AIの利用について、追加の取り決めが必要かもしれません。

誤って個人情報を入力してしまった場合は、速やかに上司と担当者へ報告します。報告が遅れると、本人への通知や、事業者への削除依頼などの対応が遅れる可能性があります。

本人への説明と同意

個人情報を取得するときには、利用目的を本人に伝えることが求められます。取得時に伝えた目的の範囲を超えて使う場合は、改めて本人の同意が必要になることがあります。顧客の情報をAIで処理することが、取得時に伝えた利用目的の範囲内かどうかは、会社のプライバシーポリシーや、個人情報の取り扱いの規程で確認します。

AIサービスへの入力が、外部への提供にあたるのか、委託にあたるのかといった整理は、法的な判断を要する部分です。個人で判断せず、会社の担当者や専門家に確認してください。

従業員や応募者の情報

顧客だけでなく、従業員や採用の応募者の情報も、個人情報です。履歴書、面接の評価、勤怠の記録、健康診断の結果などをAIに入力する場合は、特に慎重な判断が必要です。

AIを使った採用の選考や人事評価は、判断の過程が分かりにくく、不公平な結果につながるおそれがあります。人の人生に影響する判断を、AIの出力だけで行うのは避け、人が責任を持って判断します。

画像と音声の扱い

顔写真、防犯カメラの映像、通話の録音も、個人を識別できれば個人情報です。会議の録音や文字起こしにも、参加者の名前や声が含まれます。これらをAIで処理する際は、参加者への事前の告知と、会社の規程の確認を行います。画像の中に、背景に映り込んだ人や書類がないかも確認します。

判断に迷ったときの動き方

個人情報を含む作業にAIを使ってよいか迷ったら、入力する前に止まり、確認します。確認する相手は、個人情報の管理の責任者、情報システムの担当者、上司の順で考えます。

確認のときは、扱いたい情報の種類、AIサービスの名前、使う目的、置き換えの可否を伝えます。許可が出たら、その内容を文書やメールで残しておきます。口頭の許可だけだと、後で認識の違いが生じるおそれがあります。

業務の一部を切り出して使う

個人情報を含む業務でも、個人情報を含まない部分だけを切り出せば、AIを使えます。たとえば、顧客への案内文を作る場合、文面の型だけをAIで作り、宛名や注文内容の差し込みは自分で行います。業務を分解して、AIが関わる部分と、個人情報を扱う部分を分ける考え方です。この分け方なら、安全を保ちながら、作業の手間を減らせます。

次にやること

次の三つを、確認してください。

  1. 自分の会社に、個人情報の取り扱いの規程があり、AIの利用について書かれているか
  2. 普段の業務で、AIに入力しそうな情報のうち、個人情報が含まれるもの
  3. 個人情報を除くための、置き換えのルール(記号の付け方など)

業務を分けて考えると、整理できます。個人情報を扱わない作業、たとえば一般的な文章作成や、公開情報の調査には、AIを積極的に使い、個人情報を扱う作業には慎重になる、という線引きから始めると、安全に活用できます。