AIが書いた文章を自然にするには、定型的な言い回しを削り、自分しか知らない具体的な事実を足し、文の長さに変化をつけるのが効果的です。整った文章ほど、似た構造が続いて機械的な印象になります。
AIの下書きは、そのまま出すと「どこかで読んだ文章」になりがちです。下書きは材料と考え、自分の言葉で仕上げる作業を前提にしておくと、読み手に伝わる文章になります。
AIの文章に出やすい癖
AIが書く文章には、いくつかの共通の癖があります。
- 段落の初めに「まず」「次に」「さらに」を機械的に並べる
- 「〜することが重要です」「〜が大切です」を何度も繰り返す
- 見出しがすべて「〜とは」「〜のポイント」のように同じ型になる
- 最後に、本文の言い直しの「まとめ」がつく
- 具体的な場面や固有の情報がなく、誰にでも当てはまる説明が続く
- 「〜と言えるでしょう」「〜かもしれません」と、断定を避けた表現が多い
これらは間違いではありませんが、続けて読むと単調で、書き手の顔が見えません。自分の文章をAIに書かせたあと、まず癖がどこに出ているかを探します。
癖を見つけて削る
直す作業は、まず削ることから始めます。同じ言い回しが三回以上出てきたら、二回目以降を別の表現に変えるか、削ります。「重要です」が並んでいたら、何がどう重要なのかを具体的に書くか、思い切って消します。
AIに「次の文章の中で、繰り返されている言い回しと、中身のない表現を指摘して」と頼むと、見落としを減らせます。指摘された箇所を、自分の判断で直します。
文章の最後の「まとめ」の段落が本文の言い直しになっているときは、削って構いません。代わりに、読み手が次にやることを具体的に書くと、文章が実用的になります。
具体的な事実を足す
不自然さの最大の原因は、具体性の不足です。「業務を効率化できます」といった文は、誰にでも言える内容です。そこに、どの業務で、どのくらいの時間がかかっていたのか、どう変わったのかを加えると、文章に重みが出ます。
足す材料は、自分の仕事の中にあります。実際に使った手順、つまずいた点、直した箇所、読者に確認したいこと。数字を出す場合は、自分で測った値か、公的機関の公表値に限ります。
ここで気をつけたいのは、具体性を出すために作り話を足さないことです。体験談や数字をAIに作らせると、事実でない話が混ざります。自分が経験したことだけを書くのが原則です。
文の長さとリズムを整える
AIの文章は、一文の長さがそろいすぎることがあります。同じような長さの文が続くと、読んでいて単調に感じます。
短い文と長い文を混ぜます。結論や強調したい内容は短く言い切り、補足や条件は少し長い文で書きます。段落の冒頭と末尾に、変化をつけるのも有効です。
声に出して読むと、リズムの悪い箇所が見つかります。息が続かないところ、語尾が同じで続いているところを直します。
自分の言葉に置き換える
AIの文章の中に、自分なら使わない言葉があれば、日頃使う言葉に置き換えます。「実施する」を「やる」、「活用する」を「使う」にするだけで、文章は読みやすくなります。
読者に合わせた言葉選びも大切です。専門家向けなら専門用語を使い、初心者向けなら日常の言葉に言い換えます。AIに「中学生にも分かる言葉に」と頼む方法もありますが、言い換えで意味が変わることがあるので、確認が必要です。
自分の経験から出てくる比喩や例を一つ加えると、文章に個性が生まれます。ただし、比喩は分かりやすさのためにだけ使い、飾りにはしません。
直したあとの点検
直したあとは、次の点を確認します。
- 事実や数字が、元の資料と一致しているか
- 同じ言い回しが近い位置で繰り返されていないか
- 具体的な場面や手順が、少なくとも各章に一つあるか
- 最後の章が、読み手の次の行動を示しているか
- 自分が普段使わない表現が残っていないか
さらに、時間をおいて読み直します。書いた直後は、自分の文章の欠点に気づきにくいものです。翌日に読み返すと、不自然な箇所が目につきます。
AIを書き直しに使う
自然な文章にするために、AIをもう一度使うこともできます。「次の文章から、決まり文句と、中身のない強調表現を取り除いて。事実は変えないで」と頼みます。
ただし、AIに「自然にして」と頼むだけでは、別の種類の定型表現が加わるだけのことがあります。何を直してほしいか、たとえば「同じ語尾が三つ以上続く箇所を変える」「抽象的な表現を具体的な例に置き換える候補を出す」のように、具体的に指示します。
具体的な書き換えの例
抽象的な文を具体的にする例を示します。元の文が「業務の効率化に役立ちます」だとします。これを「毎週1時間かかっている集計作業が、15分ほどで終わるようになります」と書き換えます。ただし、この数字は例であり、実際の自分の作業で測った値に置き換える必要があります。測っていないなら、「集計の手間を減らせます」にとどめるのが正直です。
もう一つの例です。「重要なポイントは次の3つです」という定型の書き出しは、「見るべき点は三つあります」とするか、思い切って省いて、内容から書き始めます。「〜について解説していきます」のような予告も、削っても意味が変わらないことがほとんどです。
読み手の立場で読み返す
書き直しの仕上げは、読み手の立場で読み返すことです。「この読み手は、何を知りたくて、この文章を開いたのか」「この段落で、その疑問に答えているか」を問いかけます。
答えていない段落は、削るか、内容を入れ替えます。読み手の疑問に直接答える文章は、AIが書いたかどうかに関わらず、読まれ続けます。
時間をかけすぎない
文章の手直しは、きりがありません。目安として、AIが書いた下書きの手直しに使う時間は、自分で一から書く時間の半分以下に収めます。手直しに同じくらいの時間がかかるなら、最初から自分で書いたほうが、自然な文章になることもあります。
どこまで直すかは、文章の重要度で決めます。社内の連絡は軽く、顧客に出す文書や公開する記事は丁寧に直します。
複数人で書く文章の統一
チームで文章を作る場合、AIの下書きを複数人が手直しすると、文体がばらつきます。最終段階で、一人が全体を通して読み、言葉づかいと語尾をそろえます。AIに、「全体の文体を、です・ます調に統一して。内容は変えないで」と頼むのも、そろえる助けになります。
次にやること
最近AIで書いた文章を一つ取り出して、次の作業をしてみてください。
- 繰り返されている言い回しに線を引く
- 線を引いた箇所を削るか、別の言い方に変える
- 各章に、自分の経験や仕事で確認した事実を一つ加える
- 声に出して読み、リズムの悪い所を直す
直した文章と元の文章を並べて比べると、違いがよく分かります。その違いを意識しながら書き続けると、AIに頼る場面でも、自分らしい文章を保てます。




