英語のメールをAIで書くときは、日本語の文を単語ごとに訳すのではなく、「誰に、何のために、どのくらいの丁寧さで書くか」を伝えて、英語として自然な文面を作ってもらうのがコツです。翻訳ツールが原文に忠実に訳すのに対して、AIは場面に合わせて言い回しを選べます。
ただし、AIが作った英語には、ニュアンスの食い違いや、日本語の意図とずれた表現が混ざることがあります。重要なメールは、送る前に英語が分かる人に見てもらうか、逆翻訳で意味を確かめる手順を加えると安心です。
翻訳ツールとAIの違い
翻訳ツールは、入力した文章をそのまま別の言語に置き換えることを得意とします。意味が正確に伝わる反面、メールとして自然かどうかは別問題です。
AIは、場面や関係性を伝えると、それに合わせた文面を提案してくれます。たとえば「初めて連絡する海外の取引先に、製品サンプルの送付を依頼する丁寧なメール」と頼めば、あいさつ、目的、依頼、お礼の流れを備えた文面が返ってきます。
どちらが優れているかではなく、目的に応じて使い分けます。受け取った英語の意味を正確に知りたいときは翻訳ツール、自分から書く文面を作るときはAIが使いやすい場面が多くあります。
日本語から英語メールを作る手順
手順は次のとおりです。
- 相手、目的、伝えたい内容を日本語で箇条書きにする
- AIに、丁寧さの程度と長さを指定して英語の下書きを頼む
- できた英語を、日本語に戻して意味を確かめる
- 日時、数字、固有名詞を自分で確認する
たとえば「海外の取引先に、納期の延期を相談するメール。相手は何度かやり取りがある担当者。丁寧だが、堅すぎない雰囲気で。200語以内」と頼みます。下書きには、日本語の箇条書きの内容がすべて入っているかを確認します。
日本語のメールを丸ごと渡して英語にしてもらう方法もありますが、日本語の遠回しな表現は、英語にするとあいまいになることがあります。結論と依頼を明確に書いた日本語を渡すほうが、英語も分かりやすくなります。
英語の丁寧さと日本語の違い
英語のビジネスメールは、日本語のような長いあいさつや、へりくだった表現を必要としません。簡潔で、用件が最初に分かる書き方が好まれる傾向があります。
AIに日本語の感覚のまま「とても丁寧に」と頼むと、必要以上にかしこまった英語になることがあります。「ビジネスの標準的な丁寧さで、簡潔に」と頼むほうが自然な文面になります。
依頼の強さにも注意します。"I would like you to" は強く聞こえることがあり、"Could you please" のほうがやわらかい印象です。ニュアンスが分からない場合は、「この表現は相手にどのように聞こえるか」とAIに聞きます。
英語メールを読むとき
受け取った英語のメールは、翻訳ツールで全体の意味をつかんだあと、重要な部分をAIに説明してもらうと理解が深まります。
「次の英語のメールの要点を、日本語で三点にまとめて。相手が求めている行動は何かも教えて」と頼みます。そのうえで、日付、数字、条件が書かれている部分は、原文を自分で読み直します。
不明な表現があれば、「この表現は、どのような意味合いで使われているか」と聞きます。たとえば "at your earliest convenience" は、期限を示さないものの、できるだけ早い対応を期待する表現です。このようなニュアンスは、辞書の訳だけでは分かりにくい部分です。
送信前のチェック
英語のメールを送る前に、次を確認します。
- 宛名と敬称:相手の名前の綴りが正しいか、Mr. や Ms. の使い分けが適切か
- 日付と時差:日付の書き方(月と日の順序)が誤解を生まないか、時間帯に時差の情報があるか
- 数字と単位:金額の通貨、数量の単位が明示されているか
- 依頼の明確さ:相手が何をいつまでにすればよいかが分かるか
日付は、国によって書き方が異なります。"10/11" が、10月11日なのか、11月10日なのか、誤解されないように、"October 11" のように月を文字で書くと誤解が減ります。
注意が必要なメール
契約、法的な内容、苦情やトラブルへの対応、感情に関わる繊細なやり取りは、AIの英語だけに頼らないほうが安全です。表現の小さな違いが、誤解や責任の問題につながることがあります。
この種類のメールは、社内に英語に詳しい人がいればその人に、いなければ翻訳や通訳の専門家に確認してもらうことを検討してください。AIは下書きの出発点として使い、最終的な責任は自分で持つ意識が欠かせません。
よく使う表現を覚えておく
メールで頻繁に使う表現は、AIに頼らず自分の引き出しに入れておくと、速く書けます。たとえば、依頼するときの "Could you please confirm...?"、添付を知らせる "Please find attached...?"、日程調整の "Would any of the following times work for you?"、返信を待つ "I look forward to hearing from you." などです。
AIに「ビジネスメールでよく使う表現を、場面別に10個ずつ、日本語の意味つきで」と頼み、自分の仕事に関わるものを選んで保存します。使う表現が決まっていれば、AIの下書きの良し悪しも判断しやすくなります。
時差と返信の期待
海外とのやり取りでは、時差のために返信まで一日かかることがあります。急ぎの依頼を送るときは、期限を相手の時間帯で書くか、"by 5 p.m. Tokyo time" のように基準を明記します。AIに下書きを頼むときも、期限と時間帯を自分から伝えておきます。
翻訳した文章の著作権や秘密の扱い
受け取った英語のメールや契約書の文章を、AIに入力して翻訳させる場合、相手の機密情報を外部のサービスに送ることになります。秘密保持の契約がある場合は、翻訳に使えるサービスが制限されることがあります。入力する前に、社内のルールと契約の内容を確認してください。
返信が来ないときの催促
海外の相手から返信が来ないときは、時差や休暇を考慮して、少なくとも数営業日は待ちます。催促のメールは、相手を責めるような表現を避け、"I wanted to follow up on my previous email." のように、やわらかく切り出します。AIに催促の文面を頼むときは、相手との関係と、期限の厳しさを伝えます。
次にやること
次に英語のメールを書く機会があれば、次の流れを試してください。
- 日本語で、結論と依頼を先に書いた箇条書きを用意する
- AIに英語の下書きと、丁寧さの調整を頼む
- 英語を日本語に戻して、意図が保たれているか確認する
- 日付、数字、名前を一つずつ確かめてから送る
英語が得意でなくても、この流れなら、自分の意図を確認しながら書けます。回数を重ねるうちに、よく使う表現が頭に入り、AIに頼る場面が自然と整理されていきます。




