ChatGPT・Claude・Gemini などのAIを、調べもの・文章・資料づくりに使う方法を紹介します。

Research

調べものに使う

市場調査の下調べをAIに手伝わせる方法

目次
  1. 下調べの目的を言葉にする
  2. 論点を洗い出させる
  3. 仮説を立てさせる
  4. 情報源の探し方
  5. 競合の把握にAIを使う
  6. 注意したい落とし穴
  7. 調べた結果を意思決定に使う
  8. 小さく試す計画に落とし込む
  9. 記録を残して共有する
  10. 調査の範囲を広げすぎない
  11. 対象となる顧客の姿を具体的にする
  12. 調査結果に偏りがないかを確認する
  13. 次にやること

市場調査の下調べでAIが役に立つのは、「何を調べるべきか」を洗い出す最初の段階です。市場の大きさや競合の数字そのものは、AIの回答ではなく、公的な統計や業界団体の資料で確認します。

AIには論点の整理と仮説づくりを任せ、数字の確認は人が行う。この分担にすると、調査の入口を早く通り抜けられます。

下調べの目的を言葉にする

調べ始める前に、調査の目的を一文で書きます。「新しく始める法人向けの研修サービスに、需要があるかを判断する材料を集める」のように、何の判断のためかを明確にします。

目的が決まっていないと、AIはいくらでも一般的な情報を返してきます。読む量だけが増えて、判断には近づきません。目的と合わせて、判断の期限や、使える調査の予算も添えておくと、現実的な調べ方が返ってきます。

論点を洗い出させる

目的を渡したら、「この判断のために調べるべき論点を、優先度の高い順に10個挙げて」と頼みます。市場の規模、顧客の困りごと、競合の存在、価格の相場、法規制、参入の障壁といった論点が並びます。

並んだ論点のうち、自分の状況に関係の薄いものは外し、足りないものを足します。たとえば既存顧客がいる場合は、「既存顧客に聞けば分かること」と「外部の資料で調べること」に分けておくと、調査の手間が減ります。

仮説を立てさせる

論点ごとに、「現時点で考えられる仮説」をAIに出してもらいます。仮説は、調べる前の推測にすぎません。AIの仮説を正解として扱わず、「確かめる対象」として扱うのがポイントです。

仮説には、「確かめるには何を見ればよいか」も添えてもらいます。たとえば「中小企業は研修費用を抑えがちである」という仮説なら、中小企業庁や厚生労働省の統計、業界団体の調査を見る、といった具合です。調べる先が先に決まっていると、探す時間が短くなります。

情報源の探し方

市場調査で使える情報源には、種類があります。

  • 官公庁の統計:総務省、経済産業省、厚生労働省などの公開データ
  • 業界団体の資料:業界ごとの白書や会員向けの調査
  • 企業の公開資料:上場企業の決算説明資料や中期経営計画
  • 自分で集めるもの:顧客へのアンケートや聞き取り

AIに「この論点を調べるのに適した公的な統計は何か」と聞くと、統計の名前や所管の官庁を教えてくれることがあります。教えられた名称は、そのまま検索して実在を確かめます。見つかったページで、数字を自分の目で読みます。

競合の把握にAIを使う

競合の調べでは、自分で集めた情報をAIに整理させる使い方が安全です。競合の公式サイトの料金ページや、サービス紹介の文章を貼りつけて、「サービスの特徴と価格帯を比較表にして」と頼みます。

AIに競合の情報を直接聞くと、古い情報や、誤った情報が混ざる可能性があります。公式ページから取った情報を元にすれば、そのリスクを下げられます。

注意したい落とし穴

市場調査をAIで進めるときの落とし穴は、次の三つです。

  1. もっともらしい市場規模の数字を、出典なしで使ってしまう
  2. AIが出した仮説を、調べずに事実として扱ってしまう
  3. 自分に都合のよい答えだけを残してしまう

三つ目を防ぐために、「この事業がうまくいかない理由を5つ挙げて」と、反対の方向からも聞いておきます。反対意見を先に見ておくと、後で慌てずに済みます。

調べた結果を意思決定に使う

下調べが終わったら、結果を次の判断につなげます。論点ごとに「分かったこと」「分からなかったこと」「次に確かめること」を一覧にし、AIに整理を頼みます。分からなかったことが多い論点は、アンケートや聞き取りなど、自分で一次情報を集める作業に移ります。

下調べの目的は、結論を出すことではなく、次に何をするかを決めることです。「この事業を始めるか」という大きな問いに、下調べだけで答えを出そうとせず、「小さく試す価値があるか」という問いに答えられる程度まで進めば、十分に役目を果たしています。

小さく試す計画に落とし込む

下調べで見えた仮説のうち、最も確かめたいものを一つ選び、小さく試す方法を考えます。AIに「この仮説を、費用をかけずに2週間で確かめる方法を3つ挙げて」と頼むと、アンケート、試作品の提示、既存顧客への聞き取りといった案が出ます。

その中から、自分の状況で実行できるものを選び、実施の手順を書き出します。結果が出たら、仮説を直し、また次の小さな実験に進みます。この繰り返しが、市場調査の本体です。

記録を残して共有する

調べた内容は、論点、仮説、確認した資料、結果の順に一枚の文書へまとめます。チームで共有しておけば、同じ調べものを別の人が繰り返さずに済みます。AIに「この内容を、後から読む人向けに、調査メモの形に整えて」と頼めば、整った記録が短時間でできます。

調査の範囲を広げすぎない

下調べは、広げ始めると終わりがありません。AIが次々に関連する論点を出してくるため、つい全部を調べたくなります。そこで、「判断に必要か」だけを物差しにして、必要のない論点は思い切って外します。

期限も決めます。たとえば「下調べは3日で終える」と先に決めておけば、その時間内で確かめられる範囲に自然と絞られます。足りない部分は、次の段階の調査で補えば十分です。

対象となる顧客の姿を具体的にする

市場調査では、誰に売るのかが曖昧なままだと、数字を見ても判断がつきません。AIに「想定する顧客を、年齢や職種ではなく、困っている場面で説明して」と頼むと、顧客像が行動や状況の言葉で描かれます。

たとえば「月末の請求書作業に毎回半日かかっている経理担当者」のように、場面で書くと、その人が実際にどこで情報を探し、何にお金を払うかが想像しやすくなります。この顧客像を元に、聞き取りの質問を作れば、調査の精度が上がります。

顧客像もAIの想像にすぎないため、実在の人に聞いて確かめる作業は欠かせません。三人でも話を聞けば、AIの仮説が当たっているかどうかの感触が得られます。

調査結果に偏りがないかを確認する

下調べの結果は、見つけやすい情報に偏りがちです。大手企業の情報は多く見つかり、小さな競合や新しい動きは見つかりにくくなります。調べた範囲が偏っていないかを、「見落としている可能性のある視点は何か」とAIに聞いて、確認します。足りない視点があれば、追加で調べるか、調査の限界として明記します。

次にやること

いま検討している企画があれば、次の順で下調べを始めてみてください。

  1. 調査の目的を一文で書く
  2. AIに論点を10個挙げさせ、自分の状況に合わせて整理する
  3. 論点ごとに仮説を出させ、確かめる情報源を決める
  4. 公的な統計や公式資料で、数字を一つずつ確かめる

数字が埋まった段階で、あらためてAIに全体の整理を頼むと、判断のたたき台になる文章を短時間で作れます。