スライドを作る前にAIに構成を作らせると、書き始めてから迷う時間を減らせます。ただし、頼む前に「誰に、何を判断・理解してもらうための発表か」を決めておかないと、一般的で当たり障りのない構成が返ってきます。
構成案はスライド作成の設計図です。AIに作らせたあと、自分の発表時間と聞き手の関心に合わせて、削ったり、順序を入れ替えたりして仕上げます。
発表の目的と聞き手を決める
最初に、次の四点を書き出します。
- 聞き手:役職、知識の程度、関心事
- 目的:説明、提案、報告、説得のどれか
- 聞き手に取ってほしい行動:承認、予算、理解、協力など
- 持ち時間:質疑応答を除いて何分か
たとえば「部長と課長が聞き手。新しい勤怠システムの導入を提案する。承認をもらいたい。説明は10分、質疑は5分」のように書きます。この情報があれば、AIは聞き手に合わせた構成を考えられます。
聞き手が決まると、使う言葉も決まります。経営層には専門用語を減らし、判断に必要な数字を先に示します。現場の担当者には、実際の手順を具体的に見せます。
枚数の目安を決める
スライドの枚数は、持ち時間から逆算します。目安として、1枚あたり1〜2分で話すと考えると、10分の発表なら5〜8枚程度になります。もちろん、図や表が多い枚は長くなり、見出しだけの枚は短くなります。
枚数が多すぎると、駆け足になり、聞き手の記憶に残りません。AIに「10分の発表で、7枚以内で構成して」のように、上限を指定して頼みます。
付録のスライドを別に用意する方法もあります。本編は少なく、詳しい資料は付録に入れ、質問があれば見せる形にすると、本編が簡潔になります。
AIに構成案を頼む
依頼文の例を示します。
「聞き手は部長と課長です。新しい勤怠システムの導入を提案します。承認を得ることが目的です。発表時間は10分で、スライドは7枚以内にしてください。次の材料をもとに、スライドごとのタイトルと、各スライドで伝える内容の要点を箇条書きで示してください。材料:(現状の課題、システムの概要、費用の見積もり、導入スケジュール、リスクと対策)」
材料は、自分が用意したものを渡します。AIに材料の収集から任せると、事実でない情報が混ざるおそれがあります。
出力の形式は、「スライド番号、タイトル、伝えたいメッセージ、使う図表の案」を指定すると、あとでスライドを作る作業が楽になります。
1枚1メッセージにする
良いスライドは、1枚につき一つのメッセージを持ちます。構成案を見るときも、各スライドのタイトルが「そのスライドで言いたい結論」になっているかを確認します。
たとえば「現状の課題」というタイトルより、「勤怠集計に毎月20時間かかっている」というタイトルのほうが、スライドの狙いが明確です。ただし、この数字は自社の実際の値を入れる必要があります。AIが例として出した数字は、そのまま使わずに、自分の実測値に置き換えます。
AIに「各スライドのタイトルを、結論を言い切る形に書き換えて」と頼むと、タイトルの質が上がります。
流れを点検する
構成案ができたら、次の観点で点検します。
- 最初の1〜2枚で、聞き手が「何の話か」を理解できるか
- 課題、解決策、効果、費用、スケジュール、リスクの順序が論理的か
- 聞き手の疑問に先回りして答えているか
- 最後のスライドが、聞き手への依頼で終わっているか
- 重複しているスライドや、なくても困らないスライドはないか
AIに「聞き手の部長が、この構成を見て抱きそうな質問を5つ挙げて」と頼むと、不足している観点が見つかります。質問に答えるスライドがなければ、追加か、付録に入れます。
スライド本体の作成へ進む
構成が決まったら、スライドを作ります。文章を詰め込みすぎず、図、表、短い言葉を中心にします。AIに本文の文章を作らせる場合は、各スライドに入れる文字数を指定します。たとえば「1スライドに50字以内、箇条書きは3つまで」といった条件です。
図や画像は、事実でないものを入れないよう注意します。AIが作った画像やグラフには、実際のデータと違うものが含まれることがあります。数字を含む図は、自分のデータで作り直します。
発表の練習にAIを使う
構成ができたら、発表の練習にもAIを使えます。スライドごとの話す内容を、台本の形にしてもらい、声に出して読みます。時間を測り、持ち時間に収まるか確認します。
台本をそのまま読むと、棒読みになりがちです。台本は、話す順序と要点の確認用とし、本番では、自分の言葉で話します。AIに「この発表に対して、聞き手が出しそうな質問と、答えの案を」と頼んでおくと、質疑応答の準備にもなります。
資料の形式による違い
発表用のスライドと、読んでもらうための資料とでは、書き方が違います。発表用は、文字を少なくして、話で補います。読む資料は、後から読み返しても分かるように、文章で説明を補います。
どちらで使うかを、AIに伝えて構成を頼みます。両方で使う場合は、発表用のスライドと、補足の資料に分けるのが、現実的な方法です。
デザインの基本
構成が決まったら、見た目も整えます。文字の大きさは、会場の後ろからも読める大きさにします。一枚に使う色は、3色程度に抑えます。写真や図は、内容に関係のあるものだけを使います。
AIに、デザインの案を相談することもできます。ただし、会社のテンプレートやブランドの規定がある場合は、それに従います。デザインを凝りすぎて、内容が目立たなくならないよう注意します。
完成後の見直し
スライドが完成したら、通して見直します。タイトルだけを順に読んで、話の流れが分かるかを確認します。タイトルだけで筋が通っていれば、構成がしっかりしている証拠です。
次に、一枚ずつ、「このスライドがなくなったら、困るか」と問います。なくても困らないスライドは、削るか付録に回します。短くまとまった資料は、聞き手の記憶にも残りやすくなります。
聞き手が少ないときと多いとき
聞き手が数人の場合は、対話をしながら進められるように、スライドの枚数を減らし、議論の時間を多めに取ります。聞き手が大人数の場合は、全員に伝わるよう、図を大きく、言葉を少なくします。聞き手の人数で、構成の組み立てを変える意識を持つと、発表の手応えが変わります。
次にやること
近く発表の予定があれば、次の順に試してください。
- 聞き手、目的、取ってほしい行動、持ち時間を書く
- 材料を箇条書きにして、AIに構成案を頼む
- タイトルを結論の形に直す
- 想定される質問を挙げ、不足を補う
- 構成を一度同僚に見せて、分かりにくい箇所を聞く
構成の段階で人に見せると、手戻りが少なくなります。スライドを作り込んだあとで構成を変えるのは大変なので、早い段階の確認が効きます。




